*【噛み合わせがずれる】ということはどういうことなのか整理してみましょう。
- わかりやすく説明しますと両方の顎関節によって上あごにぶら下がるように付着している下顎が前後左右に本来の位置とは違ったところに納まってしまう。
又、ふらふらして定位置に納まらなくなってしまう状態で咬合に機能異常を起こしたり体の色々な部分に痛みや機能不全を来す状態をさします。 - 上顎と下顎は、太陽と地球の関係として捉えると理解しやすいでしょう。
勿論、地球が下あごですから、下あごの狂いは、この頃の異常気象のようなものかもしれません。 - 上あごと下あごの大きさの違いもズレの原因となります。
病的な上あご前突(出っ歯)や病的な反対咬合(受け口)これらが相当します。
あくまで病的であるという診断に基づく根拠が必要ですが・・・。 - ズレは下顎がどこに納まるかが問題ですから、結果として上あごに位置する歯牙の数や位置の異常もズレの原因となります。(例えば八重歯)
- 乳歯であれ永久歯であれ先天的に歯牙の数の異常が原因となる場合もおおいにあります。
- 外傷による歯の脱落や顎骨や顎関節部の骨折などが原因となる場合もあります。
- 後天的な歯牙の喪失(むし歯・歯周炎・抜歯)が原因にもなります。
- 片側咬みの習慣が長く続くとズレは起こります。
- 食べ物の性状や不規則な食事また食事にかける時間も問題になります。
(私は、よく咬んで食べる事は顎の骨体が大きくなるのでは無く、骨密度の問題だと考えています) - 歯の管理がうまくいってない場合、これが一番よろしくない。
- 足・骨盤などの骨折が原因に成り得ます。(上行性咬合不全症と言われます)
- 原因がつかめないもの。
《これからの解説図は、歯科用語を使いますので少しみておいて下さい。》
- カルテで使われる歯式の図です。乳歯と永久歯の頭が示されています。
- 右上の前歯は
と表します。左上の犬歯は
と表します。
- 鏡で見る場合は実際とは逆になりますので注意してください。
- 永久歯は上下全部で親知らず(8番)まで含めると32本有ります。
- 乳歯はABCDEで表されます。
予めお断りしておきますが、身体の色々な部分の筋肉痛・関節痛・感覚異常が全ての場合に、次のような姿を見せるわけではありません。
本人の感受性も関係してきますので、実際にはかなり複雑怪奇です。
- 【噛み合わせ】の条件によって不都合は様々に複合した形で出没します。
- 例えば『右噛み癖』の方を『右型』と分類して治療にあたる時、患者さんが〔左の手首が痛い〕と訴えた場合★★の歯牙のチェックをして異常が有ればその部分を【咬合調整】を行います。
その結果やその他の体の変化、顎関節のレントゲン像などを総合的に診ながらできあがったのが下図のような【歯と体の関連図】―― 概略 ―― です。
―― 【噛み合わせ】が右にズレたときによく見かける筋肉痛などの分布図 ――
- 顔は右半分がひきつった感じで目は開きにくくなる。
- 右首筋から肩は緊張して首が主に左に曲がらない。(無理をすると首筋が痛い)
- 右腕は後方に牽引されるようになるので、前方ないし上方に挙がりにくい。
- 左の胸(大胸筋)は右に体が傾斜していくのに抵抗して、緊張する。
左の首筋から肩にかけての筋緊張が出て、息苦しさを訴える場合も少なくない。
(息苦しさを訴える場合は他の病気もチェックする必要があるし、場合によれば一刻を争う場合もあり得ます) - 下顎が右にズレている場合は顎関節の痛みは左に出ることが多い。
- 右足重心が強くなると左足には筋緊張から感覚鈍麻が出ることも少なくない。
- 右重心が限度を超えると、右足のかかと部分と左足拇指に知覚鈍磨が出る。
- 内臓の不都合も体幹軸が変化する場合には、捻れやよじれが大きな原因と成り得ます。
(顎が後退すると腰仙角が曲がり便秘がちになりますが、【咬み合わせ】の治療で改善される事実があるのは否定しがたい真実です)
―― 部分的な噛み合わせのズレでも筋肉痛や関節痛が出る場合 ――
- 特に体の歪みが観察されない場合でも個々の歯牙の関係がおかしくて症状がでる場合が有ります。
(件数としても非常に多くあります)
- 腰痛・股関節痛は大臼歯(★★★番)に関係する。
- 左脇腹は右の大臼歯(★★★番)の事もあるが小臼歯(▲▲番)が強く関係する。
- 右膝痛は右の■■又は、左の◆◆が絡む。
- 右膝の裏の筋緊張は左の★★が関係する。
- 下痢便秘は両側ないし片則の▼▼▼。
- 不眠は大臼歯◆◆◆に関係。これはミクロン単位高いだけで起こります。
- 後頸部(首の後ろ)の痛みと胃痛・膝とアキレス健と足の指先の不都合は、前歯と奥歯の関係で出てきます。
- 右側にでる片頭痛は反対側の大臼歯●●●。
- 右の首筋は左の★★。
- 眼精疲労の原因の一つは奥歯が高い時に起こりやすい。
- 右の人差し指の腫れは右の☆と左の◇◇◇に問題がある時。
- 手首は犬歯と▼▼が絡む。
- 指のささくれは◆と■■が大いに関係する。
- 顔のシミも関係すると言われていますが、治る場合もあり、なかなか難しいので明言は避けます。
- 握力は奥歯が高すぎる時に低下する事がある。
- 左足の親指の痛みやしびれは右側の◆◆が高いときによくでる。
- 上記に紹介した事例はある条件の元に【噛み合わせ】の再構築を行っていく過程で対応できた事実を述べたものの一部ですですが決して安易に考えないでください。
これらの症状の中にはすぐに消失してしまうものや、しつこく再発するものやら場合によって色々あります。
ヒトは生きていくからには絶えず変化するのです。 - 筋肉痛・関節痛や顎のズレを解説する時に繰り返し登場してくる歯は犬歯と奥歯です。
【噛み合わせ】を治療の対象にする場合は個々の歯牙の働きに注目しないといけませんが、中でも私は【犬歯と第一小臼歯】にこだわっています。 - 20年以上、患者さんに接してきても、【噛み合わせ】と全身の関係については未知な部分が数多くあり、毎日が新鮮で新発見の連続です。
- その他の色々なエピソードは今後ブログのコーナーで少しずつお話しする予定です。