歯には咬合に際しては、様々な方向から圧力が加わります。
人間は雑食性なので様々な形状の食べ物を採ります硬いもの柔らかいもの辛い酸っぱい等々。
温氷からお茶にいたっては約80度の温度差が有ります。
歯にとって食事時は毎回が暴風雨に晒されているようなものです。
正常な場合には唾液を飲み込む時はべつにして、上下の歯はあまり接触しません。
これを《安静空隙》と呼んでいます。
食事の時間は一日3回30分だとして一時間半ですから、
残りの22時間30分の間に歯に加わる圧力の方が為害作用が大きいと考えられます。
正常な場合
- 上下の歯牙は接触すると下の歯は前方に上の歯は後方に多く圧力の分散が起こります。
下の前歯が乱杭状態や前に倒れている年輩の方はよく見かけます。
上の前歯は奥歯と違って下からの突き上げが強いので出っ歯傾向になりますが
奥歯は食片圧入を気にされる方は多いです。
加齢とともに自然に起きる場合は治療の対象にしない方が無難です。 - 顎関節は関節円板を介在して関節内の前壁の硬い骨に当たって支えられます。
食いしばったとき、ごく簡単に言いますと咬筋が主に緊張し、
側頭筋はあまり緊張しません。この状態で下あごが収まるのが正常とされています。 - この状態で脊柱起立筋群(いわゆる姿勢維持筋)が活性化され背筋が伸びるのです。
最敬礼したときの姿勢を想像してみてください。
もし咬合圧の分散が逆転するとどうなるでしょうか
- 上の歯は前方に下の歯は後方に強く圧力がかかります。(正常の場合の逆)
- 顎関節の関節頭(関節顆頭といいます)は後方にずれて耳孔に近づきます。
ここの部分は骨の厚みは2~3㍉ほどで、前壁を鋼鉄にたとえるとベニヤ板のようなものですからどんどん下がってしまいます。
重傷の場合は外耳孔に穴があいてしまいます。 - かみしめるとき咬筋よりも側頭筋が優位に働くと側頭筋に異常緊張が出て頭痛の原因になります。
本人は辛いので、首を前に突き出すような仕草をすることが多くなります。 - 歯牙には顎が動くたびに異常な圧力が加わるため麻酔無しで自分で抜歯するようなものなので痛い痛い・・・
抜歯しても痛み当分続く場合はこれが原因だと考えられます。 - 関節顆頭が顎関節内で後方にねじれると頭位も左後方に回転してくるので体軸も左回転して左の頭から顔から背中色々な部分が雑巾絞りにあったような痛みを訴えてきます。
- 急性であれ慢性であれ、この状態を顎の関節に注目した場合に【顎関節症】と診断されるケースが多いようです。
- 顎関節内の顆頭の異常な動きに緩衝作用を持つ軟骨(関節円板)が対応しきれなくなって顎の開閉時に滑ってしまうと、カックンという音が出るようになることが有りますが(クリックと呼んでいます)
これは下顎が曲がった反対側に出ます。(構造的にも明白な話です)
もし、両側に音が出るようなら、下あごは全体が前下方か後ろにずれているときに起こります。 - 関節円板が顆頭からはずれてでたらめな動きをしている時に閉じた口が開かなくなるのをクローズドロックといい、
開いた口が閉じなくなるのをオープンロックと呼びます。
いずれも異常な状態なので緊急を要する事態です。 - 歯牙には凸凹が有って、解説図は極端な例ですが顎が右にずれると右の前歯から
全体が逆斜面に入り反体側の左はズレを増大させないように抵抗しますので安易に咬合調整をすると症状が悪化するので治療の実際はかなり難しいです。 - 一本でもどこかの部分の逆斜面が問題になっているケースでは、個人差は有りますが病的な『めまい』『ふらつき』『体のどこかの不愉快な張り』の原因になることがあります。
この現象はある条件の下では歯牙の或る一点と体の或る場所がかなりの相関関係にあることが判っていて、《歯のある部分をさっと撫でるように磨くだけで気分がスーッとした》という嘘のようなことがよく起こります。
裏を返せばほんの少しのズレが体のいろんな場所にいろいろな不都合をもたらすということになります。 - 【咬合調整】という項目で具体例は提示できないので悪しからず。
【咬合調整】を行う場合は、自分で全責任を負うつもりで望んで頂きたいと、ご覧になっておられるかもしれない歯科医療関係者の方々に申し添えさせて頂きます。
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顔は正面に向けにくい | 左にねじられる |
歯の噛み合わせが逆斜面関係になる原因
- 上下の顎骨がずれてしまって個々の歯の対咬関係がずれる。
注)ズレの幅は数ミクロンでも症状が出る場合もあります。
歯一本分ずれてても自覚症状のない場合もありますが、
今は症状の出るケースの話を進めます - 歯牙の喪失を長期放置して歯軸が変わってしまう。
- 人工物の設計ミス(ふつうは本人が気づくのでケースとしては少ない?)
- 乳歯のむし歯による永久歯の位置異常
- 先天性欠如または人工的に成された欠損閉鎖歯列
注)ここでの話は、反対咬合や上顎前突のような歯列・顎骨は
これには当てはまりませんので誤解されないでください。 - その他――外傷・腫瘍
- 原因不明の場合
注)原因不明の歯痛は狭心症・脳梗塞・白血病など重篤な病気の前兆で
あることがあります。また妊娠というおめでたい場合もあります。
まさにお口は健康のバロメーター
* 【一本の歯があなたの人生を狂わす】これは事実なのです。
* 皆さん、歯の噛み合わせを大切にしてください。